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2008年6月16日

『絶望から立ち直る方法を教えてください』を読んで


ダライ・ラマ14世法王
ベティ・ウィリアムズ
デスモンド・ツツ大主教
広島国際平和会議2006 編


 とりあえず読んでみたが、この本は私のお薦めではない。よほどダライ・ラマが好きな人かお金が有り余っている人以外は、他の本を読んだほうがいい。ほとんどが見開きで一問一答形式になっていて、要点だけを抜き出しているのか、字数も少ない。一時間ちょっとで読了した。

 そのなかで印象に残った箇所をいくつか取り上げてみる。


社会にはなぜ不平等があるのでしょうか?

Desmond Tutu 神は、私たちをそれぞれにまったく異なったものとして創造なさいました。その目的とは、だれひとりとして自分に満足できないのだということをわからせるためです。

 なかなか面白い発想である。ダライ・ラマも同じようなことを言っているが、もちろん仏教徒は神の存在を認めないから、ただそういう社会的な不平等現象があって、いくら裕福でも自分に満足できない人がたくさんいるという事実を認識すべきだ、という主張にとどまる。


「相手をゆるす」というのはどういうことですか?

Betty Williams 私の叔母のブライディ・ダンには、ダニーという息子がいました。ダニーは医者志望で八人兄弟の中でも成績はピカイチでした。クイーンズ大学の医学部予科生でしたが、貧しい家庭だったので週末にはパブでアルバイトをしていました。
 そのダニーは、ある週末の晩、アルバイトからの帰り道で「目には目を」の犠牲者となってしまいました。プロテスタントの準軍事組織、アルスター防衛軍に撃たれて命を落としたのです。彼らも十字架の印を付けていました。
 葬儀のとき、マスコミは叔母に「いまの心境はどうですか?」などと、ひどい質問をしました。私はとても腹が立ちました。叔母も返事をしないだろうと思っておりました。ところが、叔母は彼らに向かって「私は自分がダニーの母親であってうれしく思います。自分が彼を殺した人間の母親でなくてよかったです」と答えました。


 これもまた重いテーマである。私としては先日の秋葉原の連続殺人事件を思い起こしてしまった。遺族である親御さんの心情は察するに余りあるが、いちばん苦しんでいるのは犯人の両親だろう。


世界に出てみれば、いまにも死にかけている
子どもたちを眼にすることでしょう。
そうした子どもを抱きかかえてみるとします。
頭蓋骨の部分がいちばん重いから、
その子の小さな頭を支えてやらねばなりません。
すると、みなさんを見上げるその子の瞳は
「どうしてなの? どうしてこんな目にあわなければならないの?」
と訴えかけてくるはずです。

          ―― ベティ・ウィリアムズ

 これは提示のしかたがうまいと言ったらそれまでだが、この状況を体験したら、かなり心に重くのしかかるだろうなと思う。



 
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