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2008年8月25日

『サンスクリット入門 般若心経を梵語原典で読んでみる』を読んで

 
 


涌井 和『サンスクリット入門 般若心経を梵語原典で読んでみる

 
 
 「サンスクリットはさっぱり分からないが、それでも梵語原典の般若心経を読んでみたい」という人に、これは絶対お薦めの本である。

 たとえば岩波文庫の『般若心経』にもサンスクリット原文が載っているが、あれを見ても初心者は、たとえ梵和辞典を持っていても意味不明の単語をひくことすらできないだろう。格変化や連声があるので、あらかじめ文法を知らないと、調べようがないからである。
 
 ところがこの本は、左頁のデーヴァナーガリー文字のサンスクリット原文の各単語の下にそのローマ字転写と、それに相当する訳語が書いてある。また、連声や性・数・格がいちいち記されている。さらにご丁寧にデーヴァナーガリー文字の上にはカタカナで読みまで書いてある。右頁には単語とちょっとした解説と、対応する漢文箇所とが載っている。
 
 したがって、発音やアクセントの問題はあるにせよ、この本だけで、おおまかに内容を把握しつつサンスクリットの般若心経を読誦できてしまうのである。(発音等にもこだわりたい人は、こちら の動画を参考にするとよいだろう。この冒頭部分は、マカ・プラジュニャー・パーラミター・フリダヤン・スートラン・オーム・ナマス……〔sUtram oM となるのでオームがボームと聞こえる。意味は「摩訶般若波羅蜜多心経 オーム 帰命……」〕と言っているようである。)
 
 この本の前半は、初歩の文法に当てられており、般若心経に出てくる文法事項のみに特化して簡単に解説してある。サンスクリット文法を学ぶのは本当に困難なので、“オイシイとこ取り”をしてくれているのは、初心者には非常にありがたい。

 サンスクリットの般若心経には、我々が一般に読誦している般若心経の原典に相当する小本(略本)と、それを増広した大本(広本)とがあるが、その両方がこの本には載せられている。大本をもとに般若心経を解説している本も見かけるので、その原語を確認できるというのもありがたい。

 いま小本と大本が掲載されていると簡単に述べたが、細かく見れば校訂本によって微妙な違いがある。この本はマックス・ミュラーのテキストをもとにしており、岩波文庫などの校訂本との違いも注記されている。
 
 
 サンスクリットで般若心経を読誦してみたい人、サンスクリットの雰囲気を感じながら般若心経の内容理解を深めてみたい人には大いにお薦めの一冊である。また、サンスクリットはとにかく格変化が複雑なので、多少はサンスクリットを知っている人でも、便利に参照できる本ではないかと思う。
 
 
 

 
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