« 松長有慶『空海 般若心経の秘密を読み解く』と金岡秀友『空海 般若心経秘鍵』を読んで | トップページ | 『CD付き 般若心経【読む・聞く・書く】』を読んで »

2008年10月 3日

『空海の般若心経』を読んで

 阿部 龍樹『空海の般若心経』を読んでみたが、案の定たいした内容ではなかった。巻末に空海『般若心経秘鍵』の原文(漢文)が載っているものの、すべてについて訳や解説があるわけではなく、とくに思想的に重要でない部分は無視している。ただし、訳は親しみやすいかもしれない。空海には興味があるけど難しいのはちょっと・・・という人には向いている本かもしれないが、自分に受け取れるだけたくさん空海の真意を受け取ってみたいと思っている意欲的な人には向かない。

 こういう本を読んでいつも思うのは、私は学者の本を好むということである。学者はとかく経論の細かいところを問題にするが、読者がその経論の大綱をすでに理解しているという前提でいうならば、そういう細かい議論の中で経論の一字一句についていろいろと考察していると、それが経論を深く理解するきっかけとなる。私のように不遜な人間は、学者の見解は間違っているかもしれないぞといって、ちょっと疑問に思った個所について経論の原文と照らし合わせて考察を重ねるのである。結果的には学者の見解がやはり正かったという結論になることが多いが、そうやって考察することが経論をよく味わうきっかけともなる。

 仏教に興味をもち学んでいる人の機根はじつに様々で、私は機根ともに他者に劣らぬ人をおもに相手にしたいらしい。私の小難しい議論を見て「ちょっと面白いかも」と感じてしまうような仏教的センスを全く持ち合わせていない人に対しては、私は何かを訴えかけようとは思わないし、あえてその直感について考える努力をせず、なんでも説明してもらおうと思う人も面倒なのであまり相手にしたくない。もちろん私の見解が絶対正しいなどとは思っていない。間違いもしばしばある。しかし、正しい仏法がどこかにあると思って、それをさがす努力を惜しまない人とは、付き合っていて楽しいものである。私に知的刺激を与えてくれるのはおもに学者の本であり、また、私はブログ記事などで仏教的センスのある人に知的刺激(真理などという大それたものではない)を与え続けたいと思っている。


 そんな意味で、私としてはこれは知的刺激が少ない退屈な本だなあと思った次第である。『般若心経秘鍵』に関して私のお薦め本は、前にも書いたように、松長有慶『空海 般若心経の秘密を読み解く』である。


 
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 仏教へ 人気ブログランキング
↑多くの人に読んでもらいたいので、この記事が参考になった方はぜひクリックをお願いします。
 
 
 

招待制の仏教系SNS      分野別・難易度別に整理
SNS仏教談話ネットワーク  おすすめ仏教書

 
 

 


|

« 松長有慶『空海 般若心経の秘密を読み解く』と金岡秀友『空海 般若心経秘鍵』を読んで | トップページ | 『CD付き 般若心経【読む・聞く・書く】』を読んで »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/68705/42668598

この記事へのトラックバック一覧です: 『空海の般若心経』を読んで:

« 松長有慶『空海 般若心経の秘密を読み解く』と金岡秀友『空海 般若心経秘鍵』を読んで | トップページ | 『CD付き 般若心経【読む・聞く・書く】』を読んで »