« 『ほっとする良寛さんの般若心経』を読んで | トップページ | アマゾンで座禅用座蒲が買える »

2008年10月15日

『いろいろ般若心経』を読んで

 


矢島 峰月『いろいろ般若心経


 これはビジュアル系の本である。

 般若心経をアートとして表現している本。いわゆる楷書の般若心経以外にも、行書・草書・隷書・篆書・和文・梵字などで写経手本として書かれた著者筆の般若心経が載っている。いわゆるハンコのような文字の篆書で書かれた般若心経は、蒼古的でほとんど読めない分、なにやら有難みがありそうに見える。梵字心経については、いずれ別の本を紹介したい。

 また、般若心経の一文字や名句を抜き出して、さまざまな紙・板・石に墨やペンキや胡粉などを使って創作している。「空」ひとつとってもこれだけ形が崩れるものかと、色即是空を実感する。(^^ゞ(←「色」は、形ある崩れていくものを意味する語) その他この本には、不生不滅、涅槃、度一切苦厄、無智亦無得、苦集滅道、ジクマン(般若心経の梵字)などの作品がある。これらの語句を書として飾るのなら理解できるのだが、はたして無明とか顛倒夢想なども書にして飾るべきものかどうか。まあ、アートとしては面白いとは思うから、べつに非難するつもりはないのだが。

 仏教に関して真面目すぎる人にとっては、こういう書の試みは不愉快かもしれない。しかし、これだけ般若心経が一般の日本人に普及している事実を考えると、これもまた般若心経のひとつの姿なのかもしれないと思う。

 とくに密教では、衆生の多様性に応じて如来が化身としてさまざまな形態で現われる。ありとあらゆるものが仏の化身となっているとさえ言える。それは、その変化した姿の中にほんのわずかでも仏が蔵されているということである。だからこの本の文字も、それが般若心経の内実を伝えるための如来のひとつの方便だという目で眺めるときには、仏教的な味わいが出てくるかもしれない。


 それでも、そんな創作的なのは嫌だという人もいるかもしれない。そういう人は古人の書を眺めるのはいかがだろうか。私はまだ読んでいないのだが、飯島 太千雄『あなただけの名品般若心経―写経のお手本三点つき』は、最澄、空海、後桜町天皇、良寛などの心経写経の名品17点を原寸大中心にカラーで再現したそうである。また、天来書院(編集)『般若心経の名品―王羲之/欧陽詢/劉〓/池大雅/〓石如』は、書聖・王羲之の行書集字本「般若心経」、欧陽詢の楷書「般若心経」、劉〓の「行草書般若心経」、〓石如の「篆書般若心経」、池大雅の「行草書般若心経」の5種から抜粋し収録しているそうである。

 
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 仏教へ 人気ブログランキング
↑多くの人に読んでもらいたいので、この記事が参考になった方はぜひクリックをお願いします。
 
 
 

招待制の仏教系SNS      分野別・難易度別に整理
SNS仏教談話ネットワーク  おすすめ仏教書

 
 

 


|

« 『ほっとする良寛さんの般若心経』を読んで | トップページ | アマゾンで座禅用座蒲が買える »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/68705/42797809

この記事へのトラックバック一覧です: 『いろいろ般若心経』を読んで:

« 『ほっとする良寛さんの般若心経』を読んで | トップページ | アマゾンで座禅用座蒲が買える »