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2008年11月 4日

『般若心経を解く 増補新装版』を読んで

 


般若心経を解く

 
 この本は、「帯に短したすきに長し」という感じだ。もちろん、これくらいの内容がちょうどいいと思う人々もいるだろう。レベルとしては初中級向きの本といえる。
 
 
 
 まずは、一般に普及している玄奘訳『般若心経』と訓読と友松圓諦の口語訳が載っている。そして、サンスクリットの般若心経およびその和訳と註(塚本啓祥)がある。こちらにも片仮名で読み方が記載されているので、読誦には便利かもしれない。
 
 このブログにはサンスクリット般若心経に興味を持って検索してくる人々も多いが、その中に「般若心経 サンスクリット語 カタカナ」という組み合わせてやって来る人がいた。たしかにローマ字表記をしても読みづらい部分も多いから、片仮名でだいたいの発音がわかると便利なのかもしれない。
 
 ただし、注意してほしいのは、たとえば日本では「ジュニャーナ」と表記される般若は、実際にはインド人が「ギャーナ」や「ジャーナ」と発音している場合が多い(ほとんど?)という点である。また、伝本により経文が微妙に異なっていて、たとえばこの本では「無智亦無得 以無所得故」の部分が「ナ ジュニャーナム ナ プラープティヒ タスマード アプラープティットヴァード」となっているが、別の伝本では経文自体が「ナ ジュニャーナム ナ プラープティットヴァム」となっている。ちなみに単語末尾の「ム」はむしろ「ン」の発音である。また、連声といって次の単語とスムーズにつながりやすくするために語の連結部分が変化する場合があり、その点でも本や音声資料によって微妙な違いがある。そんな細かい点にまでこだわらなくてもいいのだろうが、どれかが正しくて間違っているとまで神経質に考える必要はないという点は憶えておくといいだろう。
 
 
 また、児玉義隆筆の『梵字般若心経』写経手本が載っている。これには梵字の横に読み方が記されているので、ローマ字表記のサンスクリット般若心経に親しんでいる人なら意味と梵字との対比が容易だろう。しかし、これで写経ができるとは思われない。梵字写経を追求したり、梵字の書き方から学んでみたいと思う人は、むしろ《児玉義隆の本》を読むことをお薦めしたい。これらの本に関しては、いずれまた紹介記事を書く予定である。
 
 
 ちょっと変わったところでは、絵心経といって、文盲のために絵で発音の仕方を教えているものがある。田山系と盛岡系の二つが載っている。般若の面の絵で「ハンニャ」を、お腹に子を宿している絵で「ハラミ」を、田んぼで「タ」を意味するなど工夫されているが、絵にできなくて「ぢ」や「ん」とそのまま使っている場合もある。また、釜をひっくり返した絵で「マカ」と読ませようというのは、ほとんど笑える。もちろん漢字をよく知っている現代人にとっては、絵心経はかえって読みづらいどころか、ほとんど読むのが困難である。(笑)
 
 
 そのほか般若心経の内容に関して解説記事がいくつもあるが、私としては、まあ教養として目を通しておくくらいの価値はあるのかな程度のものである。(もちろん、それを知らない人にとっては有益な知識になるのだろうが。)
 

 
 
 


 
 
 
 
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