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2009年9月15日

『仏尊の ご利益・功徳 事典』を読んで

 この著者、私のちょっとお気に入り・・・ということでご紹介。この手の仏像事典はたくさんあるのだが、コストパフォーマンスに優れているという点でお薦め。初・中級者向き★★★★★である。


 
 この本は、密教の立場から如来・菩薩・諸天・垂迹神の主要な尊格をとりあげ、それぞれの由来や功徳、拝み方(真言・印など)や依拠する経典までを分かりやすく解説し、仏尊ごとに寺院案内も載せている。これ一冊あれば、仏像や仏教について、すべてのことが一目瞭然である。
 
 私がこの著者の本をお薦めするのは、いわゆる“拝み屋”根性がなさそうだからである。「あとがき」の言葉に私は全面的に賛成する。

 ……本来、仏尊の功徳は無量であり、しかも不可思議であり、人智では推し計ることはできない。したがって、いくら紙面を費しても、そのすべてを説き尽くすことは不可能である。また、型に当てはめて理解することも極めて難しいことである。……
 仏教の根本の教えに「縁起の法」がある。単純にいえば、この世界のあらゆる事象はすべて「縁」に触れることにより起こるということである。……
 実は仏尊の功徳もこの「縁起の法」にもれず、縁が熟さないと現れない。それゆえに利益りやくにも遅速の差が出てくる。ときには信仰に励むわりには、なかなかおかげがないと嘆く方がいるが、そのような時には焦らずに、仏尊の功徳があらわれる縁が熟すのを待っているのだと思っていただきたい。それと同時に私たちも、日々に善根功徳を積んで善い御縁を積極的に作っていくことが大切である。
 また、利益を授かった場合には、必ず感謝、報恩を心掛けたい。というのも困って祈願をかけている時はまさに「困った時の神頼み」状態で必死だが、「のど元過ぎれば熱さを忘れる」のたとえ通り、えてして願いが叶うとその御加護を忘れがちになるものである。
 仏尊の功徳は縁起の法により、自然な形で現れることがほとんどである。そのために心願が成就しても「やっぱり、私の運が良かったのだ」ぐらいに思い込みゃすい。言い換えれば信仰を志すものは利益を授かった時のみならず、順境逆境すべてに仏尊のお導きと受けとる心がまえが大事である。
 報恩といってもさまざまな形があるが、一番は他者に対して功徳善根を心掛けることである。仏尊は慈悲を専らとする。その心を自分の心として現世げんせ に慈悲を施す生き方を仏尊は最も喜ばれる。また結実しても、再び種を地にまかねば次がないのと同じく、利益を受けてもそのままでは、いわゆる「一代信仰」で終ってしまう。功徳善根の行いは、そのまま自他ともに永く幸福に生きる最善の道なのである。……

 
 報恩といっても、べつに拝み屋さんに更なる御布施するという必要はなかろう。自分が受けた利益りやくがありがたいと感じたら、そういう利益を他者に少しでも施せるように自己の徳性・能力を磨くのでもいいと思う。仏教的な観点から自他ともに幸せになれるように努力するのが、本当の報恩ではないかと思う。
 
 ちなみに、諸天や垂迹神はたとえ現世利益が多くともあまり深くは関わらないほうがいいと私は考えている。損得にこだわる心から離れられなくなる傾向があるからである。むしろ損得を越えた智慧を頂くのを願ったほうがいい。そこで、できるだけ如来か菩薩を祈りの対象とし、苦しみが強い場合には明王に荒療治してもらうつもりでいるくらいがいいと思う。
 
 この本には図像も真言も載っているので、まずは自分の惹かれた仏尊の姿をイメージしつつ簡単な真言を唱えてみるのもいいのではなかろうか。そして、近くにその仏尊を祀るお寺があったら参拝してみるのもいい。
 
 
 

 
 
 
 
 
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