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2009年9月 5日

『全注・全訳 般若心経事典』を読んで

 私の般若心経解説は、どうなってしまったのやら。。。 なんとなく書く気力が定まらないというのか、気が散るというのか、煩悩に負けてるというのか(笑)、そういう時に書いても良い文章にはならないので、休止状態である。ま、あくまでも長~~~~~~~い中断であって、途中挫折ではないからね。(^^;
 
 
 で、般若心経関連の本を見かけると読んでみたくなる私は、米澤 嘉康『全注・全訳 般若心経事典』を読んでみた。すごくいい。中上級者向けにお薦めの本である。ただし、般若心経マニアや般若心経を細かく検討してみたい人にはいいのだが、如何せん値段が高いので、普通に興味がある程度の人にはそれほどお薦めできない。お薦め度は★★★★☆である。半額くらいで入手できるなら中級者以上には絶対にお薦めである。
 

 
 
 第一部「全注・全訳 般若心経」の部分では、1~数句ずつの読み下し・現代語訳・梵文和訳が右ページあり、左ページには語句解説がある。基本的には流布本(≒玄奘訳)に則って解説しているが、ところどころ梵文も参照した解説になっている。この部分は、般若心経の意味を一通り知っている程度の人でも容易に読めるだろう。
 
 第二部「般若心経 内容解説」は、『大般若経』における般若心経の対応部分や、『大般若経』の注釈である)大智度論』の対応部分と比較して、語彙の内容説明を行なってい、また、梵文も参照しつつ議論している。たとえば、「真実不虚。故説」か「真実不虚故。説」で議論が展開されている。梵文をみる限りでは後者に軍配が上がるが、『大智度論』の「故説」「故。説」は下にかかっていて前者の読みがよさそうだという。また、梵文テキストも批判的に検討され、bodhisattvasya の部分は bodhisattvas yaḥ ではないかと目新しい見解を提出している。『大般若経』や『大智度論』の引用箇所も明記されているので、国訳一切経などで原典に当たって思索を深めるのにも便利だろう。
 
 第二部「資料篇」では、流布本・玄奘訳・羅什訳が対照されていたり、流布本・大正大蔵経・高麗大蔵経の対照、流布本・羅什訳・大品般若経の対照、房山石経の6つの般若心経の対照、唐欧陽詢書・顧升撰書・集字聖教序の対照、そして、漢訳・梵文・和訳の対照、諸訳対照として玄奘訳・羅什訳・法月訳・般若/利言等訳・智慧輪訳・法成訳・施護訳・小品系梵文・大品系梵文などが並べてある。漢字の使い方の細かい違いや、梵文を確認したい人には便利この上ない事典だろう。ただし、旧字/新字の表記に関してはアバウトである。また、梵文の語訳や文法的な説明を逐一しているわけではいないので、梵文を検討するにはサンスクリット文法の基礎知識は必要だろう。
 
 
 
 いつもならここで著作内容について私見をいろいろ展開するのだが、いずれこの内容は私の般若心経解説に反映させることにするので、今回はこれでオシマイ。
 
 
  


 
 
 
 
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