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2010年3月29日

『サンスクリット語・その形と心』を読んで

 
 私は最近、サンスクリット原音に近い発音で真言を唱えるという目標を立てていて、同時並行してサンスクリットでの意味を確認したいと思っている。そこでサンスクリット語を独学で勉強し直しているのだが、まあ初級者でもなんとか独習できそうな本を見つけたのでご紹介したい。初中級者~中級者向きで、おすすめ度は★★★★☆である。
 


 
 この上村勝彦氏は、仏教というよりはインド哲学全般の学者である。もともと語学は苦手であったらしく、「かつて自分が苦労したことを思い起こしながら学習の負担を少しでも軽減することができるように工夫しつつ、できるだけ平易に書いたつもりである。」(まえがき)という。私の場合は、20年以上前からサンスクリット語を勉強しようと思っていたにもかかわらず未だに初級者レベルを脱け出られない状態なので、なかなか心強いお言葉である。(^^;
 
 サンスクリット語は活用がめちゃくちゃ多くてすぐに挫折してしまう。この活用形はすべて覚えるべきものではないようだが、ある程度は覚えておかないと辞書が引けない。おそらくは平易なサンスクリット文を読むことで重要な活用形は頭の中に自然と入るのだろうが、「私は、仏教のサンスクリット原典を読みたいのに、なんで外道の思想や物語で頭をいっぱいにしなければならないんだあ~!」とも思ってしまう。その点、この本では短い例文がちょこちょこ載っていて、まずはこれを丸暗記していくつもりでいれば、活用形もだいぶ頭に入りやすくなるのではないかと思う。
 
 
 サンスクリット語を独習しようとすると、大抵は名詞の格変化のところでいきなり挫折してしまうのだろうが、さらに動詞の活用も種類が多い。ま、英語でもその他の言語でもよく使う単語は不規則に変化するものだが、たった10種類の動詞活用型を覚えるのが大変な苦労である。というのは、時制に現在・過去・未来形があるのは許せるとしても、完了とアオリストという過去形の一種もあるし、パラスマイパダ(能動態)とアートマネパダ(反射態)といって、動作が他者に向かうか自己に向かうかで動詞の形が違う。そして、命令形や願望形まで人称ごとに活用形を覚えなければならない。サンスクリット語は学習者を挫折させるためにわざと難しくしてあるんじゃないかと思えるくらいである。(苦笑)
 
 文法の学習にもやはり辞書は必要だが、よい日本語のサンスクリット辞書がなかなか見つからない。しかしまあ、この本の末尾には簡単な語彙集と動詞語根一覧表が付いている。また、サンスクリット語の辞書のひき方も簡単に解説してあり、初心者にとっては有益である。なにしろサンスクリット辞典はアルファベット順になっていないので、見出し語の配列に慣れるまで大変だし、 ṃ や ḥ はこの配列の原則から外れているので、その点を予め知っておくと辞書も多少は引きやすくなるだろう。
 
 
 ま、あんまり「難しい、難しい、……」と言って人のやる気を削いでしまってもいけないが、いずれはサンスクリット原典を参照しながら仏典を読んでみたいと思っている人は、このあたりの本から始めるのがいいのではないかなと思った次第である。その次に菅沼晃の文法書と講読に進むのがいいだろう。
 
 
 
 
 

 
 
 
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