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2012年12月27日

『はじめての「梵字の読み書き」入門』を読んで

 今回ご紹介するのは、静 慈圓『はじめての「梵字の読み書き」入門』である。

中級者向き。おすすめ度★★★★☆


 梵字の代表的な流派に、澄禅流・浄厳流・慈雲流がある。かっちりした形の刷毛書は澄禅流であるが、この本は毛筆書の慈雲流の梵字である。

 多くの梵字入門書は、梵字の字母(単音)の形を解説しただけで終わったり少し切継ぎ(単音を合成した字)について紹介しているだけである。この本もそれに毛の生えた程度のものだと言えるが、とりあえず導入部分だけは詳しく解説している。すなわち、字母の読み方・書き方からはじまって、母音符号の書き方が解説され、さらに18章の読み方・書き方まで最初の部分だけではあるがかなり詳しく列挙している。

 さらにご丁寧にあいうえお五十音に相当する梵字まで列挙しており、これだけで自分の名前を梵字で書けるようになるだろう。「しんじょう・りょうこ」のような名前は、切継ぎを知らないと書けないわけで、そんな名前書き遊び(?)をするのにも役に立つ本だろう。大蔵経を見ると、たまにさっぱり意味不明の梵字がならんでいたりすることがあるが、本書を読むと、それらも解読できそうな気分になってくるのではなかろうか。

 最後のほうには著者の梵字作品が掲載されている。安楽(sukha)、金剛(vajra)、心(citta)、仏陀(buddha)、歓喜(pramodya)、菩薩(bodhisattva)、不退転(avivartika)など、「ふーん、梵字で書くとこうなるんだ。」と思えるような語がたくさんある。たいていの本では五輪塔や卒塔婆にある仏の種字しか見かけないから、新鮮かもしれない。

 特に真言僧は、梵字は(種字としての)一字で完結するという思い込みが強いのではなかろうか。それは梵字の特殊な一面にすぎないのであって、梵字は他の言語と同じく第一にアルファベットの一種なのである。

 この本は、ひょっとしたら僧侶か駆け出しの仏教学者くらいしか実用的ではないのかもしれない。しかしながら、インド仏教の経論はみな梵字で書かれていたのだ。そんな経論に思いを馳せてサンスクリットの世界へと誘ってくれる本ではないかと思う。



 
 
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